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DTM・作曲初心者の実践ガイド

参考曲を分析する方法
作曲へ生かす15分・5項目シート

公開日:2026年10月6日 著者:内海玲王

結論

参考曲は、構成、テンポとリズム、音数、主役、区間差の5項目を15分で分析します。最後に観察結果を「自分の曲で一つだけ変える操作」へ翻訳すると、聴いて終わらず、作曲に使える設計図になります。

好きな曲を何度も聴いているのに、自分の曲は近づかない。これは耳が悪いからではありません。「格好いい」「明るい」「盛り上がる」という感想のままでは、DAWで次に何を操作すればよいか決められないからです。

この記事では、音楽理論や楽器名に詳しくなくても行える参考曲の分析方法を、時間配分、記入例、実際の制作操作への変換まで順番に解説します。分析だけで1日を使わず、15分後には自分の曲を一つ直せる状態を目指します。

分析前に「今回知りたいこと」を一つ決める

いきなり曲全体を分析すると、コード、音色、ミックス、構成など観察対象が増えすぎます。最初に、自分の曲で止まっている問題を一つだけ書いてください。

この一文が、分析中に見る場所を決めます。たとえば「サビが盛り上がらない」が問題なら、特殊な音色名を当てるより、サビの前後で音数、音域、リズム密度がどう変わるかを見るほうが役立ちます。

参考曲は「好き」だけでなく、今回の問題に近い1曲を選ぶ

最初の分析では1曲に絞ります。次の3条件のうち、2つ以上が近い曲を選んでください。

  1. 曲の役割が近い:歌もの、BGM、ダンス曲など用途が近い
  2. 速度感が近い:BPMだけでなく、ドラムや伴奏の細かさが近い
  3. 解決したい問題が近い:作りたい展開、主役、音の広がりが参考になる

壮大なバラードを作っているのに、単に好きだからという理由で高速のダンス曲を選ぶと、分析結果を移しにくくなります。すべてが似た曲を探す必要はありません。「今回はサビ前の引き算を見る」のように参考にする範囲を限定します。

分析前のルール

正規に再生できる曲を使い、固有のメロディ、歌詞、印象的なリフを写しません。参考にするのは、区間の役割、音数の増減、音域差など、抽象化した関係です。

参考曲を15分で分析する5項目

15分は分析範囲を絞るための作業時間の目安です。習得時間や完成を保証するものではありません。まず比較したい2区間を選び、下の順番で記録します。楽器名が分からなければ「低い短い音」「後ろで伸びる音」のような役割名で構いません。

1

構成と変化時刻を記録する(3分)

曲を頭から再生し、何かが大きく変わった時刻を記録します。イントロ、Aメロ、Bメロ、サビという名称が分からなくても、「静かな部分」「上がる部分」「一番広い部分」で十分です。

例:0:00導入、0:14静か、0:41上がる、0:55一番広い。目的は秒数を正確に写すことではなく、変化が何秒ごとに来るかを把握することです。

2

テンポとリズムの密度を見る(3分)

BPMが分かれば記録し、分からなければ「遅い・中間・速い」で構いません。次に、キック、ハイハット、伴奏、メロディの動きが4分音符中心か、8分・16分中心かを見ます。

同じBPMでも、細かく動く音が増えると速く感じます。「サビでテンポが上がったように感じる」の正体が、ハイハットの細分化やメロディの音数増加であることもあります。

3

同時に聞こえる主な音を数える(3分)

Aメロとサビで、耳に入る主な役割を数えます。ボーカル、低音、コード、ドラム、高い装飾、後ろで伸びる音など、大きな単位で数えてください。

重要なのは正確なトラック数ではなく、区間の密度差です。サビで2役増えたのか、Aメロで3役休んでいるのかを比較します。

4

その瞬間の主役と、主役に聞こえる理由を書く(3分)

各区間で最も耳が向く音を一つ決めます。次に、主役に聞こえる理由を仮説として書きます。

  • 周囲より音量が大きい
  • 高い音域または空いている音域にいる
  • 中央に配置されている
  • 周囲の音が休み、余白がある
  • 立ち上がりが強く、リズムが目立つ

「ボーカルが主役」で止めず、「サビでは伴奏が左右へ広がり、中央のボーカルが空いて聞こえる」まで書けると操作へ変換しやすくなります。

5

区間差を一文にする(3分)

最後に、Aメロとサビなど二つの区間を比べ、「何が、どう変わったか」を一文にします。

良い例:サビではハイハットが8分から16分になり、高いパッドとコーラスが加わり、メロディの最高音が上がる。

弱い例:サビが派手になる。

形容詞だけで終わらず、増えた・減った・上がった・広がった・細かくなった、という変化の言葉を使います。

15分分析シート

項目Aメロサビ差
時刻・長さ   
リズム密度   
主な音の数   
主役と理由   
一文まとめサビでは__が__になり、__が加わる。

分析シートの記入例

以下は記入方法を示すための架空の例です。特定の楽曲を実測した結果ではありません。時刻や音数を正解として使わず、自分で聴いた内容に置き換えてください。

項目Aメロサビ差
時刻・長さ0:15〜0:430:57〜1:25長さは同程度
リズム密度キック少なめ、8分ハットキック増加、16分ハット高域の刻みが2倍
主な音の数5役7役パッドとコーラス追加
主役と理由声。伴奏が少ない声。最高音と中央配置音域が上がる
一文まとめサビでは刻みが細かくなり、背景が2役増え、メロディの最高音が上がる。

この記入例から、「サビを派手にする」という曖昧な目標ではなく、「ハイハットを細かくする」「パッドを戻す」「メロディの最高音を上げる」という候補が得られます。

分析結果を自分の曲の操作へ変える

参考曲の数値や配置をそのままコピーせず、観察した関係を自分の素材へ置き換えます。次の4段階を一行で書いてください。

段階書く内容例
観察参考曲で起きた事実サビで背景の音が2役増える
仮説なぜ印象が変わったか横と奥の広がりが増えた
操作自分の曲で一つだけ試すサビでパッドを1つ戻す
比較変更前後を同音量で聴く主役が埋もれなければ採用

一度に3つ変えると、何が効いたか分かりません。まず一つだけ操作し、変更前をA、変更後をBとして書き出します。音量をそろえて比較し、「改善・変化なし・悪化」のどれかを記録します。

構成差を作りたい場合は「Aメロ・Bメロ・サビの違いと作り方」、主役の聞こえ方を整えたい場合は「DTM初心者のミックス手順」へ進むと、分析結果を具体的な作業へつなげられます。

参考曲をパクリにしないための線引き

この練習では、作品固有のフレーズを写すことを避け、働き方を抽象化します。「サビで音域を上げる」「イントロに短い主役を置く」のように、自分の素材で試せる言葉へ変えましょう。このチェックだけで著作権上の問題の有無を判定できるわけではありません。

不安なら、同じ目的を持つ2曲目も分析します。2曲に共通する「サビ前で音数を減らす」のような関係を使い、どちらか一曲の固有表現へ寄りすぎないようにします。

参考曲分析でよくある失敗と直し方

楽器名や音源名を当てることに時間を使う

初心者が知りたいのは製品名ではなく、その音の役割です。「明るく短い高音」「後ろで伸びる低い音」と書けば、自分が持つ音源で代替できます。

低音の大きさを、そのまま自分の環境で比べる

再生音量が違うと、大きいほうが迫力あるように聞こえます。比較前に体感音量をそろえ、同じヘッドホンまたはスピーカーで交互に聴きます。

分析項目を増やしすぎる

15分で終わらない場合は、今回の問題と関係ない項目を切ります。展開が問題なら、細かなEQやマスタリングは後回しです。

分析して満足し、自分の曲を開かない

分析の完了条件は表が埋まることではありません。「次に変える一つ」が決まり、DAWでA/B比較までできたら完了です。

参考曲分析の完了チェック

よくある質問

参考曲は何曲分析すればよいですか?

最初は1曲で十分です。1曲を5項目で最後まで分析し、自分の曲で一つ試してから、必要なら同じ目的の2曲目と比較します。数を増やすより、分析から操作まで完了することを優先してください。

音楽理論が分からなくても分析できますか?

できます。区間が変わる時刻、同時に聞こえる音の数、主役、Aメロとサビの違いは、コード名や楽器名が分からなくても記録できます。理論用語は、必要になった段階で観察結果に名前を付けるために使います。

参考曲と自分の曲のBPMが違っても使えますか?

使えます。BPMの数値そのものではなく、音符の細かさ、区間の長さ、音数の増減など相対的な関係を見ます。ただし速度感が大きく違う場合は、同じ目的に近い別の曲も比較してください。

まとめ:分析は「次の一操作」を決めたら終わり

参考曲分析は、構成、テンポとリズム、音数、主役、区間差の5項目を15分で見ます。最後に観察を仮説へ変え、自分の曲で一つだけ操作し、変更前後を比べてください。

今すぐ行うこと:参考曲を1曲選び、Aメロとサビで「同時に聞こえる主な音の数」を数えて、一文で差を書きましょう。

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作成・検証方針

検索結果で共通する論点を確認したうえで、初心者が15分で実行し、DAWの一操作へ変換できるよう独自の分析シートと記入例を作成しました。教材本文や他サイトの文章は転載していません。